Bedrockを使ってみよう
このハンズオンでは、Amazon BedrockでAnthropic Claudeを使い始めるための初回利用フォームの提出と、コンソールのPlaygroundとAWS CLIからのモデル呼び出しを実際にハンズオン形式で手を動かしながら体験します。
- Anthropic Claudeの初回利用フォームを提出して、モデルを呼び出せる状態にする
- コンソールのPlaygroundでモデルと対話する
- AWS CLIの
converseAPIからモデルを呼び出す - 呼び出し結果を見て、料金・トークン数の見方を確認する
1. 事前準備
このハンズオンでは、以下のツールやアカウントが必要です。まだ準備できていない場合は、リンク先の手順に沿って準備をお願いします。
2. ハンズオンの概要
2.1 今回使うモデル
本ハンズオンと本章の以降のハンズオンでは、Anthropic Claude を使っていきます。ClaudeはAnthropic社が開発している基盤モデルで、対話や要約・コード生成・複雑な指示への追従など、汎用的な用途で高い性能を発揮するのが特徴です。
Claudeには、性能・レイテンシ・料金のバランスが異なる主要なグレードがあります。
| モデル | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| Haiku | 最も軽量で、応答が速く単価も安い | 大量呼び出し・要約・分類など、シンプルなタスクを高頻度で扱う場面に向く |
| Sonnet | 性能・レイテンシ・料金のバランスが取れている | 対話・生成・エージェント・RAGなど、汎用的な用途に使える |
| Opus | 最も高性能で、複雑な推論や長文の扱いに強いが、単価は高い | 難易度の高い分析・専門領域の生成・エージェントの高度な推論に向く |
| Fable | 最上位クラスで、長時間の自律実行や高度なコーディング・ビジョン処理に対応する | 数日にわたる自律タスク実行や、複雑なドキュメント理解を必要とする用途に向く |
Fable は 2026年6月に一般提供が開始されたばかりの新しいモデルです。今後、仕様・料金・提供リージョンなどの情報が更新される可能性があるため、実案件で採用を検討する際は Claude Fable 5(AWS公式ドキュメント) で最新情報を確認してください。
本章のハンズオンでは、汎用的な用途に適した Sonnet を採用します。多くの実案件で「まず Sonnet で試して、必要に応じて Haiku・Opus・Fable に切り替える」のが現実的な進め方であり、本章のハンズオン内容も Sonnet で問題なく完走できるためです。
なお、Haiku や Opus・Fable を試したい場合は、以降の手順でモデル選択箇所を差し替えれば同じ流れで動作します。料金の相場感を掴む目的で、Haiku と Sonnet を並べて呼び出しコストを比較してみるのも良い体験になります。
2.2 Bedrockのモデル利用と初回利用フォーム
Bedrockでは、リージョンで提供されているサーバーレスの基盤モデルは、SDKやAPI・コンソールから初回に呼び出したタイミングで自動的に利用可能になります。以前は「モデルアクセス」画面から1つずつ有効化する運用でしたが、この画面は2025年に廃止されました。
ただし、Anthropic Claude モデル は例外的に、初回利用時に「First Time Use (FTU) フォーム」の提出が必要です。用途と関連URLを申告するフォームで、1アカウント(または組織の管理アカウント)で1回提出すれば、以降は自動的に呼び出せる状態になります。本ハンズオンでは、これから使うClaude Sonnetを対象にこのフォームを提出します。
2.3 Playgroundとは
PlaygroundはBedrockのコンソール上でモデルと対話できる画面です。コードを書かずにモデルの応答を確かめられるため、モデル選定や、プロンプトの検討時に使います。
2.4 ハンズオン全体の流れ
まずコンソールからAnthropicの初回利用フォームを提出し、Claude Sonnetを呼び出せる状態を作ります。次にPlaygroundでモデルとの対話を確認し、その後 AWS CLI から同じモデルをAPI経由で呼び出して、コンソール外からも同じ体験ができることを確認します。
3. Anthropic Claudeの初回利用フォームを提出する
前述の通り、Anthropic Claudeを初めて使う際は、初回利用フォームの提出が必要です。1アカウント(または組織の管理アカウント)で1回提出すれば、以降は自動的に呼び出せる状態になります。
AWSマネジメントコンソールで Amazon Bedrock を開き、リージョンが 東京リージョン(ap-northeast-1)になっていることを確認します。
左メニューの「モデルカタログ」を開き、Anthropicの Claude Sonnet を選択します。初回に開いたタイミングで用途を尋ねるフォーム(Use case details)が表示されるので、以下のような内容で入力・送信します。
- 用途の説明: 「学習目的でBedrockを試す」など、実際の用途を記入する
- 関連URL: 会社サイトや、個人の場合はGitHubプロフィール・ポートフォリオページなどを記入する
フォーム送信直後にモデルへのアクセスが付与されます。以降はPlaygroundやAWS CLIから通常通り呼び出せます。
| ⚠️ フォームが表示されない場合 |
|---|
| 同じAWSアカウント(または組織の管理アカウント)で過去に提出済みの場合、フォームは表示されません。この手順はスキップして、次の「Playgroundで対話してみる」に進んでください。 |
| ⚠️ 呼び出し時に「利用不可」や AccessDeniedException が返る場合 |
|---|
選択したリージョンで対象モデルが提供されていない可能性があります。左上のリージョンセレクタで バージニア北部リージョン(us-east-1)に切り替えてモデルカタログを再度確認してください。バージニア北部リージョンで利用する場合、以降の手順もそのリージョンで実施します。 |
4. Playgroundで対話してみる
Claude Sonnetを呼び出せる状態になったら、Playgroundからモデルと対話してみます。
左メニューの「Playground」を開きます。中央に「Select a model to get started」と表示されるので、「モデルを選択」をクリックします。

モデル選択のダイアログが開きます。以下の順で選択し、右下の「適用」をクリックします。
カテゴリ: モデルプロバイダーから「Anthropic」を選ぶモデル: 一覧から「Claude Sonnet」の最新バージョンを選ぶ(「レガシー」ラベルが付いたものは旧世代なのでスキップ)推論: 推論プロファイル → クロスリージョンから「JP Anthropic Claude Sonnet …」を選ぶ

推論プロファイルには「JP」「Global」の2種類のクロスリージョン推論プロファイルが用意されており、それぞれ振り分け先の範囲が異なります(Bedrock講座 で扱ったクロスリージョン推論の仕組みです)。
JP: 東京リージョン(ap-northeast-1)を主軸に、大阪リージョン(ap-northeast-3)など日本国内のリージョンに閉じてトラフィックを振り分けるGlobal: 日本以外も含む世界の対応リージョンに広くトラフィックを振り分ける。スループットや高負荷時のスロットリング耐性はJPより高いが、推論処理が日本国外で実行される可能性がある
なお、Globalを選んでも保存データ(CloudWatchログ・Knowledge Baseなど)はソースリージョンから移らず、日本国外で動くのは推論処理そのものだけです。それでも「推論処理を日本国内に閉じたい」というデータ処理場所の制約がある業務利用ではJPが選ばれやすいため、本ハンズオンでもJPを使います。スループットを重視する場合は、Globalに差し替えても以降の手順はそのまま動作します。
適用するとPlaygroundのチャット画面に切り替わり、画面上部に選択したモデル名(例: Claude Sonnet 4.6)が表示されます。なお、Claude Sonnet 4.6 は本講座作成時点の最新版で、閲覧時期によっては後続バージョン(4.7・5 など)がリリースされている場合があります。その場合はモデル選択の際に、その時点で最新のバージョンを選んで構いません。
下部の入力欄に以下のプロンプトを貼り付けます。
AWSのAmazon Bedrockについて、初学者向けに3つのポイントで説明してください。
プロンプトを入力したら、右下の「実行」をクリックします。

数秒〜十数秒で回答が返ります。モデル名の右横に 入力トークン数・出力トークン数・レイテンシー(ミリ秒)が表示されるので、どれくらいトークンを消費したか、応答までにどれくらい時間がかかったかを確認できます。トークン数はBedrockの料金の基準になるため、Playgroundは料金感を掴む用途にも使えます。

Playgroundに応答が返ってくれば、Claude Sonnetを呼び出せる状態が整っています。
5. AWS CLIから呼び出してみる
コンソールからの呼び出しに成功したら、次はAWS CLIから同じモデルを呼び出してみます。API経由でも同じ応答が得られることを確認します。
まず、CLIから呼び出すために使うモデルIDを確認します。Playground画面の「モデルを選択」ダイアログで、Claude SonnetのモデルID(anthropic.claude-...という文字列)を控えておきます。
ターミナルを開き、以下のコマンドでconverse APIを呼び出します。<モデルID>は先ほど控えたモデルIDに置き換えてください。
aws bedrock-runtime converse \
--model-id "<モデルID>" \
--messages '[{"role":"user","content":[{"text":"AWSのAmazon Bedrockを初学者向けに3つのポイントで説明してください。"}]}]' \
--region ap-northeast-1
以下のような実行結果が表示されます。
{
"output": {
"message": {
"role": "assistant",
"content": [
{
"text": "Amazon Bedrockについて、初学者向けに3つのポイントで説明します..."
}
]
}
},
"stopReason": "end_turn",
"usage": {
"inputTokens": 30,
"outputTokens": 200,
"totalTokens": 230
},
"metrics": {
"latencyMs": 4500
}
}
output.message.content[0].textに応答本文が入ります。usageには入力・出力・合計のトークン数が返り、metrics.latencyMsにはBedrockが応答を返すまでのミリ秒数が入ります。この2つを見れば、以降のハンズオンでもコストとレイテンシの当たりを付けられます。
| ⚠️ AccessDeniedException が返る場合 |
|---|
呼び出し元のリージョンでモデルがまだ利用可能になっていないか、モデルIDのリージョンと--regionが食い違っている可能性があります。Anthropic Claudeを初めて使う場合は前述の初回利用フォームが未提出の可能性もあるため、モデルカタログから対象モデルを開いて状態を確認してください。 |
6. 不要リソースの削除
Bedrockのオンデマンド呼び出しはリクエスト都度の課金で、待機中の料金は発生しません。初回利用フォームの提出自体にも料金はかからないため、このハンズオンでは削除すべきリソースはありません。
7. まとめ
このハンズオンでは、Anthropic Claudeの初回利用フォーム提出と、Playground/CLIからのモデル呼び出しを体験しました。
- Anthropicの初回利用フォームを提出して、Claude Sonnetを呼び出せる状態にした
- Playgroundから対話し、応答とトークン数を確認した
- AWS CLIで
converseAPIを呼び出し、コンソール外からも同じ応答が得られることを確認した - 応答レスポンスの
usageとmetricsから、コストとレイテンシの見方を押さえた